美術、絵画の価値って一般の人にはわかりにくい、って思いませんか。
理屈はわかりませんが、私は美術館での絵画鑑賞など、結構好きな方です。
「13歳からのアート思考」(末永 幸歩氏著 ダイヤモンド社 2020/2/19)という本は、 アートの価値をわかりやすく教えてくれます。
ここではその内容に詳しくは触れませんが、極々簡単に言うと、芸術史上で金字塔となった作品や作家は、その当時常識となっていた観方、考え方を打破し、新たな価値を創造したもの、と言えるということです。
一例を挙げれば、写真のなかった時代において絵画の価値は、「いかに写実的に描き、現実のあるがままに近づくことができるか」ということでしたので、写実的に描く技術が尊重されていましたが、写真が世に出回りはじめると、その価値が一気に失われていきます。
そこで絵画に求める価値は、必ずしも写実的である必要はない、むしろ写真にはできないことの方に価値を求め、一つの二次元世界に多視点を融合させるピカソの試みが認められた、というようなことが起こりました。
このようにそれまでの時代の常識を覆し続けることで、アートが価値あるものとして認められるのだということです。
仕事柄、ここからマネジメントについて私は考えてしまいました。
結論から申し上げれば、両輪がなければ成り立ちません。
しかし現実は、バランスよく同じ大きさで両輪を回せることは少なく、サイエンスが弱ければアートでカバーし、アートが弱ければサイエンスでカバーするように自然とマネジメントしているのではないかと思います。ただ、いずれか一方だけでは前進できません。
マネジメントの失敗はサイエンス、成功はアート、などという言い方も聞きます。
例えば戦略論、マーケティング論、ウェブマーケティングなどは、ややもすると公式があってサイエンスで成功に導けると思いがち、あるいは、思いたいという願望があるかも知れませんが、せいぜい半分です。残りの半分はやはりアートです。
アートという言葉はスマートすぎますし、センスが全てと思われがちですが、そうではなく、本人の想いやモチベーションの高さ、エネルギーではないかと思います。
13歳で中学に進学し、受験科目ではない美術への関心が低下すると言われます。
確かに、一見実利のない一般教養的なもの、あるいは才能のあるものだけに許された分野と認識されてしまいがちですが、マネジメントのみならず、自らの生き方をもアートする意志が求められている現代、そんなことを思い巡らす良書だと思います。
マネジメントのアートとサイエンスの双方に日々刺激を与え、着実に進化させることを習慣化すると、経営を安定化させ、組織を成長させることに繋がります。
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