経営者に必要なたった1つの資質

経営者は孤独です。
立場上、社内でも相談できない、
かと言って、家庭では余計な心配は掛けたくない。
友人や知人に会社の内情や問題、愚痴は話せない。
行き場がないですよね。

また、成功した著名経営者の記事を目にすると、
現実はそんなに簡単ではない、教訓は得られても、実際的な参考にはならないな、
とお感じではありませんか。

経営者だって人間です。スーパーマンではありません。
成功した経営者には優れた面があると思いますが、経営者一人で成功したわけではありません。
脚光を浴びる経営者には、陰の功労者が必ず存在しています。

独りでは成しえないことをするために会社を組織している筈が、経営者独りに更に負荷がかかる。
そのままでは心身共にまいってしまいます。

私は30年上、500社以上企業様に人事教育分野で関わらせていただき、マネジメント研修の受講者は3万名を超えています。
経営者の資質というと、10の資質とか18の資質などと、管理者に必要なスキル同様に様々な知識・経験が必要だと説明されています。
もちろん全て備えているにこしたことはありませんが、それを目指すと多くの方は挫折します。
何故なら、成功した経営者にも、そのような人は稀だからです。
全てを網羅しなければならないと考えるのではなく、より本質を理解し、自然体で自身の強みを活かすことを考えた方が賢明です。

経営者の方は、日々様々な問題解決を求められ、忙殺されているのではないでしょうか。
頭から悩みが消えることもありません。
しかし、考え方を変え、大切なことに焦点を当てれば、空回りも減り、組織が更に機能し始めます。


1.経営者の仕事は際限がないbusy

よく経営者の資質として、経験、向上心、財務知識、資金調達、人脈、コミュニケーション、先見性…と、殆ど網羅的に様々なものが掲げられます。
しかし、全て備えていなくても経営はできます。
全てを備えた経営者などいません。全部1人でできるならば組織はいりません。
独りでなし得ないことを行うために、人々を組織化している筈です。
小規模企業の場合は、経営者の双肩に全てかかってしまうこともあります。
個人事業主は文字通り全てを独りで行いますが、その際、その時点で可能な範囲の経営をするという選択も経営者自身の裁量です。できないものはできないのですから当然です。
経営者の仕事が際限なく拡がり、必要な資質も多くのものが求められるのは、よりよくしていこう、事業を更に拡大していこう、と経営を向上させようとするからに他なりません。
この時、経営者自身が様々な分野の学習をして経営を向上させようという考え方は、経営的にはあまりよい選択とは言えません。
もちろん概要を知るぐらいならばよいのですが、専門的な知識まで身につけようとすることは問題です。
例えば、自分自身を向上させようとする”向上心”は必要ですが、それ以前に経営者としては、経営資源を最適配分しなければなりません。
経営者自身の時間は、組織規模が小さいほど、経営資源の中での重要性は非常に高くなります。その貴重な資源をもともとご自身の専門外の知識習得に当てることが、組織にとってどれほど意義のあることか、を検討すべきです。
組織はメンバーそれぞれの強みを活かし、相互に補完し合い、協働できるようにし、1+1が2以上になるようにするのが経営です。
規模が大きくなるほどシナジー効果が出しやすくなる反面、逆機能も働き易くなります。また、規模拡大した場合、一時的には効率が下がり、少ししてから徐々に改善していきます。

組織経営において、ある知識・技術の必要性が出てきた場合、社長が勉強するという選択肢から、誰か他のメンバーをその分野の責任者にしたり、外部から調達するなど、自分1人で抱え込まずに他者や外部と課題を共有し、協働できるようにしようと考えることが、経営者としては大切です。


2.自分の強みだけを活かすexcellence

経営者に限らず、組織に参画するメンバーそれぞれが強みを増やしたり、強化することはよいことですが、全員をスーパーマンのようにしようというのは馬鹿げています。
特にそれぞれにとって明らかに不得意な分野に時間とお金を費やすのは、経営的に適切な判断ではありません。

但し、若い人が自分で苦手と自認していることが、ただの食わず嫌いだったということはありますので、上司や先輩も本人の言うことで、若い人の潜在力を限定してはいけません。ですので、若い人(一般には30代半ば頃まで)には、様々な可能性を試す機会は必要ですし、会社組織としても将来投資、人材発掘になります。

話を戻しますが、基本はそれぞれの強みで組織に貢献できるように組織化することが望ましいのです。
経営者は、自分自身も経営資源としてとらえ、最大限自身の効果性を引き出すことが必要です。もちろん経営者は結果に対する全責任を負いますが、全分野を行わなければならないということではありません。

そう考えますと、経営者として必要なたった1つの資質は、
自他共に、その可能性を信じ、信頼し、活かすことです。


言い換えると、人を使うということですが
、そのように言うと指示命令をすること、と誤解される恐れがありますが、そうではありません。課題や情報を共有した上で協働する、ということです。
一方通行の指示命令は、指示する側が全てを構想し、指示される側はそれに従うだけ、となってしまい、考えるのは経営者だけとなってしまいます。
もちろん経営者は誰よりも考える必要がありますが、経営者が考えるテーマは組織内の他者と共有し、それぞれに考え、相違する意見をぶつけ合うことで経営も、それぞれも進化します。


3.経営を組織化するcolaboration

では、その経営者が有していない資質はどうすればよいのでしょうか。
必要であるにもかかわらず、組織にも備わっていないならば、経営者がその役割を何とか担うしかありませんが、できれば他のメンバーにその分野を任せるのが得策です。
経営は経営者だけで行わなければならないという決まりはありません。
むしろチームで行うべきですし、実際優れた企業の経営はチームで行われています。
ただ中小企業ですと経営チームメンバーとしての人材は不足しがちですので、構成できないということもあるかもしれません。
しかし、可能な範囲でメンバーを経営に巻き込むことのメリットは非常に大きいのです。
メンバーの視座を高め、潜在力を引き出す好機となるからです。
経営者が常に課題を抱え込んでいては、折角の生きた教材をメンバーが目にし、経験することはできません。
経営者は全責任を負いながらも、思い切ってメンバーを信頼し、自身が不得意な各分野の仕事をできるだけメンバーに任せていくことが必要です。いずれは、自身が得意とする分野も後進を育成し、全てメンバーに任せていかなければなりません。何故ならば、本業のマネジメントに専念しなければならないからです。

特に将来組織を拡大しようとするならば、早めにメンバーを経営に巻き込み、将来の経営を担う人材を発掘し、育成しておく必要があります。
中途採用する方法もありますが、即パフォーマンスを発揮できるわけではありませんし、むしろ組織が発展する過程を経験しながら、組織の経営を発展させてきた人材は貴重です。人材育成は一朝一夕ではできません。経営者に必要なたった1つの資質は「自他共に、その可能性を信じ、信頼し、活かすこと」と申し上げましたが、そのためには、組織の将来像、ビジョンを強い想いを持って描き、構想することで展開していきます。


4.専門領域で経営の役割分担をしても協働し続けるmanagement team

拡大した将来の組織像を描く際、一般的には専門部門が設置され分業化が進んでいる状態をイメージすると思います。
しかし、注意していただきたいのは、専門部門はその領域の責任を負いますが、他の者が一切口出ししない、できない状態は、組織が機能不全に陥る懸念があります。
一見、各専門部門が自律的に運営できれば効率的に見えますが、経営の各機能は相互に影響し合っていますので、それぞれが無関係ではあり得ないのです。
全社的視点で統合的に検討することが必要なのです。
組織規模が大きくなれば、統合的に検討することに多大な時間とコストがかかるようになりますので、部門横断的な連携は希薄になりがちです。そうならないようにするのが経営です。

バイオリン、ピアノ、管楽器など、オーケストラにはそれぞれ専門のプレイヤーがいますが、それぞれのよさを引き出しつつ、何よりも全体としてのハーモニーを奏でるのが指揮者です。
経営者にも自身の専門分野と自認する領域があると思いますが、オーケストラの指揮者にも以前はある楽器のプレイヤーだった方が多いと思います。しかし、指揮者として参画する以上は、全体を統合的に俯瞰した上での適切な判断と指揮が役割です。

組織の規模に関わりなく、経営には本来どのような機能が必要かを認識し、それを組織の発展に併せて、どのように充実させていくのかも構想しておいてください。そして、どんなに規模が拡大しても、組織が一丸となって活動できる土壌をどのように築いていくのか、それらを阻害する行動や習慣はどのようなもので、それをどのようにしたら防げるのかなど、「自他共に、その可能性を信じ、信頼し、活かすこと」の実践し続ければ、具体的に見えてくると思います。


いかがだったでしょうか。目先の問題に忙殺されざるを得ない状況では、じっくりと考えることができないかもしれませんが、今後5年後、10年後の経営をどのようにすべきか、どこか雑音の入らないリラックスできる環境で熟考してみてください。きっと明るい将来を描くことができ、エネルギーが湧いてくるでしょう。経営、マネジメントについて解説した記事もありますので参考にしてみてください。それでも悩みは尽きないと思います。その時はメッセージをお寄せください。時間はかかるかも知れませんが、可能な範囲でお応えします。急がば回れで、立ち止まり、低くしゃがみ込むことで、次は高く飛躍できるものです。独りで悩みを抱え従業員や家族のために頑張っている経営者の皆さん、従業員の方々とその悩み、課題を成長する機会として分かち合ってください。応援しています。


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