使えない社員を使えるようにする方法

また同じミス。この間も言ったばかりなのに。
大事な商談があるのに、また連絡もなく遅刻。やる気がないのか。
返事ばかりで、言ったことが全然できてない。
何を言っても否定的批判。じゃぁ、自分だったらどうすんだよ。
電話が鳴っても無視。自分が取ろうという気は一切なし。
細かく言い続けないと、まともに仕事ができない

 

など、忙しいときに限って社員のミスをカバーしなければならないとなれば、尚更不満は募りますね。
どれも原因は一つとは限りませんから、
残念ながら唯一絶対的な対応方法はありません。100人いればそれぞれに合った100通りの対処方法が必要です。断片的、マニュアル的対応では却って状況を悪化させる懸念すらあります。

しかし、人手不足のご時世に、人を採用したがために時間が削られるなんて…、と思われるかも知れませんが、期待する役割が大きければ大きいほど、育成に手間暇かける必要がありますし、それだけの価値があるのです。

そのため直属上司や先輩による個別指導も不可欠ですが、その前に
組織としてそれぞれが指導・育成しやすい環境を整えることが不可欠です。
そうすることで個別指導の効果を高めることができます。

以下、共通してよく見受けられる原因と対策を解説しますので、組織全体として効果的に人材育成をしていくための参考にしてください。


1.使えない原因と対策

”使える”とか”できる”というレベルには何段階かありそうです。例えば、

レベル0:指示した内容に従おうとしない
レベル1:指示した内容を理解しようとしない
レベル2:指示した内容の理解と実行内容が不充分
レベル3:指示した内容を確実に実行する
レベル4:指示した内容以上の成果を上げる
レベル5:指示がなくても、役割と期待を理解し主体的に行動し成果を上げる
レベル6:全く指示、指導を必要とせず自立的に成果を上げる

レベル0から6までの7段階を想定してみましたが、要約すれば以下の二軸で考えられそうです。

      1. 指示や期待の理解度
        • 本人の理解度
        • 指示や期待をする側の伝達力
      2. 行動の自立度
        • 期待されている役割の理解度
        • 役割を果たすための方法の理解度
        • 役割と実行方法の共有化度

1の指示や期待の理解度は、
コミュニケーションの問題ですので、当事者の理解度だけでなく、指示や期待をする側の伝達力(表現力)もありますので、双方のコミュニケーション力が影響し合っていると考えられます。

また、2の行動の自立度は、
身近な指示内容だけでなく、自らに期待されている役割の理解度とそれを果たすための方法の理解度が関わっています。更にその組織や状況における役割と実行方法の共有化度なども関わっていると考えられます。

このように分解してみますと、組織や指示する側に主に起因する原因と、主に本人に起因する原因の両方が推定できます。

  • 組織や指示する側に起因する原因 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
    • 役割や指示の説明が不充分direction

あくまでも該当する対象社員にとって”不充分”という意味です。
一般に、自らはできることでも、指示、指導するとなる一段高い理解が必要になります。
更に、相手が理解できる説明の仕方である必要がありますので、自分の常識を脇に置き、予断をせず相手を理解していることも前提になります。
また、ある特定の作業だけを都度指示するのではなく、その作業の前工程、後工程、更には仕事の全体像や状況を共有していれば、本人の理解度を高められます。

また、これらに関して本人の理解度を確認するためにも、一方的に伝えるだけでなく、本人の考えや意見を引き出し、肯定的に聴くことも重要です。このことは理解度を確認するに留まらず、将来、自ら主体的に考え、問題意識を持って自立的に行動することに繋がります。いつも一方的に指示するだけであれば、社員の自主性は生まれません。

    • 基本的な関係が築けていない

人を道具のように形容する「使えない社員」という言い回しは最近のことですが、仕事ができないという意味で使われています。実はこの言い方自体が原因の一つになっています。
人間関係において”使う”、”使われる”、”利用する”、”利用される”などの支配と従属の関係では、相互の信頼関係は生まれにくくなります

法的に雇用契約関係がありますので、互いに利用する、されるという一面があることは事実ですが、それを当人同士の関係の基礎にしなければならないということはありません。

一般的に組織の中

では、責任や役割による上下関係はありますが、
効果的な協働関係は、対等な人間関
係が前提になりますrelationshipそうでなければ、1+1を2以上にするシナジー効果は得にくくなります。

道具が自ら育つことはないですからね。

  • 本人に起因する原因 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
    • 対人関係の能力

勉強の出来不出来や言葉の理解度の影響もありますが、まず第一に検討すべきは本人の対人関係の能力と職場における人間関係です。たとえ中途入社で社会経験があったとしても、その組織での人間関係はこれからになりますから、そのようなときには誰もが、ある程度の精神的な緊張状態にあるはずです。一方何年同じ職場でも、なかなか打ち解けないという対人関係の能力が低い人もいるでしょう。

ご存知のように離職の最大の原因は、職場の人間関係にあります。communication
パフォーマンスに影響を与える最大の要因も同じです。
同じ職場でも、無駄な緊張をせずに伸び伸びと仕事ができる人もいれば、些細なことでも気に病み、ストレスとなってしまう人もいます。

本人の対人関係能力と職場の人間関係や職場の風土が要因です。
いずれも一朝一夕に変えることはできませんが、こちらができることは、仕事の指示の仕方だけではなく、常日頃から互いが互いに尊重しつつも、率直で自由に意見が言い合えるような健全な職場風土を築き、それぞれの状況や気持ちを気に掛け、気を配り、互いに支援し合える関係づくりは、とても基本的なことです。

一般にこのような話題では本人の”やる気”、”モチベーション”ということが指摘されますが、本人自身の内的な動機は、他人がどうこうできるものではありません。しかし、組織の中では、組織内の他者との人間関係や風土が本人のモチベーションに大きく影響します。

    • 理解度

本人の対人関係の能力、職場の人間関係の次に、本人の理解度、理解力を確認すべきでしょう。
一口に理解度と言っても、何に対するものかにより異りますから、どのような内容をどのレベルまで理解して欲しいのか、ゴールを明確にしておくことが必要です。

understand

その上で、それに対する本人自身の理解度は現在、どの程度で期待レベルとのギャップはどの程度なのか、その原因は何なのかを分析しておくことが必要です。

また、今後同じような指示や指導が繰り返し必要であれば、適切な表現方法を本人とともに考える、つまりマニュアルのようなものを本人と作成する、本人につくらせるとよいでしょう。
こうすることで、職務内容、作業方法がより明確になるとともに、本人の理解度を高めることにもなります。

【参考】コラム「人材育成をマネジメントする」


2.対策の留意点

人材育成は、together使えないから使えるように直す、
自分にとって役立つ状態(有用性を高める)にする、
自分にとって都合よく振る舞ってくれるようにする、
などを目的にすれば必ず失敗します。

人間として対等な信頼関係を築き、
互いに尊重し協働関係が発展するようになること

が基本です。
そのためには、それぞれの目的を共有し、協働の目的を共につくり共有し、対等な相互依存=相互支援関係が築ければ、一方的な育成、教育ではなく、共に育つ”共育”となっていきます。


3.組織としての仕掛け

そして、これらを各マネジャーや先輩社員に求めると同時に、
それぞれの活動を支援する組織としての仕組
を仕掛けていくことで、
各研修の効果も倍増します。

組織全体に関わる仕組としては、

system

目標管理:MBO(あるいはOKR)から、個別の関係構築を支援するメンタリング制度1on1ミーティングなど、
既に多くの企業で活用されている様々な仕組みをベースに構築できます。
但し、仕組みだけの導入で終わっては意味がありません。

併せてそれぞれのプロセスから効果的な関係、効果的な人材育成がどの程度実現しているかをモニタリングできる仕組みも組込み、モニタリング結果をタイムリーに現場へフィードバックし、繰り返し対策を打っていくことが成功のカギです。

何故ならば、研修内容が職場のチームで共有される可能性が高まるからです。逆の状況ならば、バケツの底が抜けた状態なりかねません。


4.それでも成長促進が難しいケース

このような対策をしても、なかなか成長の促進が難しい場合もあるでしょう。
しかし、どんな人にも必ず可能性があります。ひょっとしたら本人自身も気づいていない、あるいは苦手だと思っていることに意外な才能があった、ということもよくあります。
人材育成の本質は、顕在化していない才能を見いだし、引き出していくことにあります。

また、今現在有用な能力が10年後も役立つとは限りませんし、
それらを一朝一夕で獲得することも困難ですから、
将来必要になる能力を想定し、計画的に育成していく必要があります。

とは言え、企業が人材育成に費用、時間を無制限に投資できるわけではありません。
特に中小企業においては人材育成への投資が非常に限られています。
それでも今から5年後、10年後の組織力を高める取組みをしなければ、事業継続のリスクが高まります。

しかも現在は、単に一般的な教育研修を拡大すればよいというものでもありません。

そこで成長促進が難しいケースへの対処法ですが、現時点で人材育成に投資できる費用、時間、能力を勘案し、組織の人材育成力では対応できない人材は採用しないことが大前提になります。
そうするためには、
・組織の人材育成力を見積り、
・対応が困難な育成要素とその水準を明確にし”採用しない基準”を明確にしておく
必要があります。

一般的に変革、成長促進が困難、あるいは時間がかかるのは以下の順です。

①性格特性 > ②思考力 > ③知識・技術

      1. 性格特性

        • いわゆるビッグファイブと呼ばれる性格の五つの要因Big Five
          ・開放性
          ・誠実性
          ・外向性
          ・協調性
          ・神経症の傾向
          が一つの目安となります。
          一般に誠実性、協調性の高さは組織内でのパフォーマンスの高さと有意な相関があるという調査結果があります。

          職種によって、適するパターンがは異なります。また、サイコパスの特徴を多く有する方は要注意です。
          一見非常に優秀に見えることもあるサイコパスは、
          必ずしも反社会的な活動をするというわけではありませんが、
          極端な冷酷さ、無慈悲、エゴイズム、感情の欠如、結果至上主義、慢性的に平然と嘘をつく、
          などの特性が挙げられていますので、
          職種によって高いパフォーマンスを上げる可能性もある反面、組織の健全性を害する懸念もあります。
      2. 思考力

        • 組織で他者と共に協働していくためには論理的な思考力と、それに基づく話し方は一定レベルは必要でしょう。
          また、そのためには客観的な観察力や客観的であるための自身の感情コントロールも必要だと考えられます。

          更に、自らの意見を発展させ、何かの提案を行ったり、意見具申をするには概念思考や主体的な意志が不可欠です。
          このように単に思考力と一口に言っても、幾つかの要素が組み合わさって発現されるものと考えられますので、自組織で必要とする要素とその水準を洗い出し、その中から育成困難な要素や水準はどのようなものかを明確にしておきます。
      3. 知識・技術

        • 知識、技術はその内容やレベル、対象者の年齢や特性などにより一概には言えませんが、性格特性や思考力等と比較して、後天的に獲得、変容が可能な領域です。

大きく『性格特性』『思考力』『知識・技術』の3区分で能力の概要を説明してまいりましたが、採用時だけでなく組織内での個々人のパフォーマンス、チームが組成された際のパフォーマンスなどの測定、そしてそれぞれの成長を促進していくために、

自社に必要な能力要素と水準の定義リストは、組織人材マネジメントにおける不可欠なツールの一つです。

    1. 戦略組織論の世界的権威であるカナダ・マギル大学デソーテル経営大学院のヘンリー・ミンツバーグ教授は、我々は「人的資源(human resource)」などではなく、「機知に富んだ人間(resourceful human being)」であると言っています。
      確かに、ヒト、モノ、カネ、情報と他の経営資源と並列されますが、単なる資源とみなしてしまえば、それぞれのユニークな可能性を信じ、それを引き出そうとはしなくなります。
      各管理者の育成力向上を図ると同時に、組織として不可欠なマネジメントツールを整備することで、
      組織人材に対する投資効率が高まります。手間をかけただけリターンが得られるということです。

まとめ

いかがだったでしょうか。
道具は使い手に従って動きます。人は自分の感情で動きます。
使い手の意図や想いに、納得したり、共感して動きます。
感情のコミュニケーションは、二人の関係が対等で互いに信頼しあえるほど円滑になります。
このような関係になりやすい環境を整えることは、個々の人材マネジメント、育成指導のパフォーマンスを効率的かつ効果的に高めます。

一般に、
人材を採用する組織側は、人材にその優劣を見出し、
組織に入社する人材側は、組織にその優劣を見出します。

人材同士の優劣差よりも、組織の優劣差は増幅されます。
人材を潰してしまう組織と、人材の可能性を引き出す組織とでは、所属構成員の能力格差も拡大する一方です。
見方を変えれば、組織としての人材育成力は市場優位性につながります。

採用した人が、こちらの指示通りに動いてくれればいいだけだから、それ以上の手間ひまかけられないと思われる方もいるかもしれません。
でも、結局組織のパフォーマンスは、所属するメンバーが互いに気持ちよく働ける感情になっているか否かに依存しています。

急がば回れ。遠回りなようで実は一番の近道です。
自分自身が気持ちよく、楽しく働ける環境づくりを考えていただくと、わかりやすいと思います。
人づくり、組織づくり、風土づくりは、今だけではなく、未来志向で取り組んでください。
本気で取り組めば、実は意外と早く実現します。

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