組織人が認識すべき”事業マネジメント”とは

事業マネジメントというと経営層や専門セクションの領域で、
一般のメンバーには関係ないと思っていませんか。
しかし、組織内のどのセクションに所属していたとしても、
どのような仕事に従事していたとしても、
全てその組織の事業発展に寄与するように位置づけられている筈です。

そのため、事業マネジメントのありようを知ることは、
全体の中における自らの位置づけや求められる役割の優先度を判断する材料になります。

それでも、そのような情報は必要であれば上司からもたらされ、
やはり一般のメンバーが気にする必要はないのではないか、と疑問に思われるかも知れません。

しかし、自ら主体的に考え、行動しようとするならば、自らそれらをできるだけ正確に把握する必要があります。

私は30年上、500社以上企業様に人事教育分野で関わらせていただき、マネジメント研修の受講者は3万名を超えています。

マネジメントは概略だけでも全体像を把握しておかなければ、その職務を果たすことはできません。ところが案外、所属部門以外のことについての認識が希薄な方が少なくありません。
とは言え、専門セクションではない限り詳細までは知る必要があるとは思えません。

この記事では組織に参画するメンバーとして知るべき事業マネジメントについて、できるだけ簡潔な説明を試みますので、事業の全体像をどのように、どの程度、把握すればよいのかが理解できます。

Business

所属する組織の事業マネジメントのありようを概観することにより、ご自身の職務の全社における位置づけや期待される役割が理解でき、仕事の自由度が高まり、やりやすくなりますので、この記事を全体像の把握に役立ててください。

 


1.事業マネジメントの全体像

マネジメントと名付けられるものを幾つか挙げてみますと、例えば、
セルフマネジメント
タイムマネジメント
アンガーマネジメント
プロセスマネジメント
プロジェクトマネジメント
チームマネジメント
リスクマネジメント
アセットマネジメント
ファシリティマネジメント
ファイナンシャルマネジメント
ケアマネジメント
マーケティングマネジメントなど、

きりがないほど様々なものにマネジメントの言葉がつきます。

これらを眺めていますと…、
マネジメントの意味には狭義から広義まで幅があることがわかります。
それぞれの言葉自体が多義的に使われていますので異論もあるかと思いますが、
便宜的に、
・個人~組織の影響範囲の軸と
・戦略~戦術(あるいは手段・方法)の構想の複雑

の二軸で整理してみると、
それぞれのマネジメントという言葉が指す範囲がイメージできます。

様々なマネジメント

この記事のメインテーマである「事業マネジメント」は右上です。
”事業”(Bu
siness)と”業務”(Operation)を同等のものとして扱った論も散見されますが、
ここでは事業マネジメントを、事業戦略、全社戦略に基づくものとしますので、
その影響範囲は広く、構想の複雑さも高いものですから、詳細まで理解しようとすれば広範な知識を要します。

しかし、詳細を積み重ねるだけでは全体像になりません。
むしろここでは全体像を捉える目的で事業マネジメントを検討します。

そして、この事業マネジメントの目的はと言いますと、
事業の目的と目標の達成に向けて内部のリソースとプロセスの最適化を図ること、と言えます。
言い換えれば、経営資源の有効活用です。


2.事業マネジメントは内部のリソースとプロセスの最適化度合いで評価される

事業マネジメントやその出発点になる全社戦略の適切性、妥当性を、
”効率性”などの経済合理性のみで評価してしまうという過ちを犯しがちです。

効率性に先行する、重要な視点が2つあります。

一つ目はマーケティング
二つ目はイノベーションです。

何故ならば、事業組織は外部環境に適応し生存するオープン・システム(生き物)だからです。内部だけで自己完結することはありえません。
外部との取引やコミュニケーションなくして生存し続けることはできません。

組織自体の意志はもちろん重要で不可欠ですが、
それと同等に外部、特に市場の意志や市場との関係に、
将来どのような発展的変化をもたらそうとするのかは重要課題です。

もちろん、それが現在の組織が保有するケイパビリティを越えていれば不可能ですので調整を要しますが、
全社戦略や事業マネジメントを構想する段階では、市場との関係が主要な論点です。

内部の効率性は、これらの下位の検証ポイント、
つまり事業マネジメントの下位レイヤーとしての業務マネジメントに属する視点です。

ここで論じています事業マネジメントは、概ねビジネスモデルのフレームに集約できます。ビジネスモデル

これが把握できれば、ご自身の仕事や役割の位置づけの見当がつけられます。特にマネジメント職であれば、この全体像の的確な把握は欠かせません。

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3.マーケティングとイノベーション

そう考えますと、マーケティングとイノベーションについて、ある程度認識を深めておく必要があります。
と言ってもここでは専門的な説明は省き、簡単に考えたいと思います。

マーケティングは、顧客視点で思考することであり
イノベーションは、様々な部分をよりよくすること、併せて、新たな満足に繋がる価値を生み出すこと

と認識しておけばよいでしょう。

この2つの視点で、
実際の全社戦略や事業マネジメントの適切性、妥当性がどのレベルであるのかを評価できると思います。

その評価結果から、もし不足していると思う部分があるならば、
自らの役割、権限の範囲で、
どのように不足部分を補うことができるのか、よりよい方向へ導くことができるのか
を検討してみます。
権限範囲を超えた部分に関しては、
どのような建設的な提言ができるのかを検討するとよいでしょう。

もちろん、単なる他者批判ではいけません。建設的な提案が重要です。

実は、このような構想が、
主体的な行動とモチベーションの源泉になります。

マネジャーの方には不可欠な問題意識の範囲を全社視点に拡張したインサイドワークです。
自チームの目標設定を充実させることに繋がります。


4.全体観を持った主体的行動

マーケティング的な顧客視点と、
様々な部分をよりよくし、新たな満足に繋がる価値を生み出すイノベーションの視点が、
主体的な行動とモチベーションの源泉と申し上げました。

特に忙しく仕事に追われているとき我々は余裕がなくなり、
どうしても視野が狭くなり、自らの担当範囲の業務だけで精一杯になりがちです。
眼前の業務で成果を上げさえすれば、最終的にもよい結果になるのであればよいのですが、
その業務の中で判断が必要な場合、狭い視野で判断してしまう恐れがあります。

その判断は、部分最適にはなっても全体最適にならないことが殆どですから、
下位組織のそれぞれが視野狭窄した判断で行動すれば、組織全体としてはマイナスになることさえあります。

そして、視野狭窄した思考をもとにした行動は義務的なものとなり
それをし続ければ、それが行動習慣になり、モチベーションダウンに繋がりかねず、
習慣化の期間が長いほど回復は困難になります。

これらのことを私たち個人としては経験的、直観的に知っています。
ところが組織となると、適切で主体的な行動を公式には推奨しながらも、
図らずも阻害してしまう圧力が常に生じています。

最も大きな要因は、
・上下関係
・公式の評価
です。

組織の構成員一人一人は、
全ての結果に責任を負う立場にはなく、当たり前ですが、その責任は、それぞれの権限範囲に限定されます。
となれば、それぞれの構成員は、まずは自身の権限範囲の責任を全うすることを最優先にするのは当然のことです。

問題は権限範囲外との関連、最終的には全体と自身の権限範囲との影響関係への関心が希薄になることです。

そこで、組織全体の事業マネジメントのありようを自ら把握した上で、
自身の行動を自ら決めることが、自分にとっても、結果的に組織にとっても有益なのです。

全体観を持てば、主体的に思考し、行動することが可能になるのです。


ちょっと回りくどい説明だったかもしれませんが、ご理解いただけたでしょうか。

簡潔に要約すれば、

全体観を持って主体的で意欲的な姿勢で仕事に臨むためには、
組織全体の事業マネジメントのありようを自ら把握することが最も近道だ

ということです。
そして、事業マネジメントのありようを把握するために、
マーケティングとイノベーションの視点で検討することをお勧めいたしました。

主体的で意欲的な姿勢でそれぞれが臨めば、恐らく普通は他者との葛藤が生じます
その葛藤とそれぞれの立場を越え、より上位の視点で合意できれば、
それぞれのパフォーマンスは飛躍し、組織力が向上します

そして最も有益なことは、
このように思考し、行動する個人の精神的な健全性とエネルギーが高まることです。

権限範囲外のことまで意識し、気を配るというと、余計なことをしなければならなくなるから損だ、
と思うのは大間違いです。

どうせ同じ仕事をするならば、周囲とも理解し合い、相互に気持ちよく、やりがいを持って取り組めるようにした方が、それぞれにとって幸せなはずです。

事業組織は外部環境に適応することで生存できると言いましたが、
適応するとは、単純な同調反応ではありません。組織内の個人も同じです。

既定されていることを一旦脇に置き、事業マネジメントで組織の全体観を掴み、
ご自身の現在の役割と将来期待される役割やビジョンを自ら考えてみてください。

きっと未来に向けた力が湧いてくると思います。トライしてみてください。

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