組織マネジメントを成功させる必須ポイント

組織マネジメントについての解説や情報が数多くあり過ぎて、どのようにしたらうまくいくのかわからない、と感じていませんか。

個人のマネジメントを詳細にするだけでは、組織マネジメントにはなりません。

また、組織の特性により効果的な組織マネジメントは異なりますから、一律な施策では全体として必ずしも成果を上げられないだろうということも容易に想像できます。しかし、それに関する情報が殆ど見当たりません。

私は人事教育分野で500社以上の企業様に関与させていただきましたが、規模の大小にかかわりなく大半の企業の人事は個人管理に軸足を置き、効果的な組織マネジメントにまでは発展できていない状況が続いています。

この記事では、組織力を高めるために何が必要なのか、そのポイントを明らかにし、ポイントごとに必要なアプローチをできるだけシンプルに整理していますので、実践にあたって無駄な努力が防げます。
組織力を高めるために、個人のマネジメント以外に何が必要なのか、早速考えていきましょう。


 

1.組織マネジメントを成功させる必須ポイントpoint

組織マネジメントが成功し組織力を向上させるためには、メンバー個人と他のメンバーとの「関係のマネジメント」が必要不可欠です。
皆さんも経験があると思いますが、上司が替わったり、職場が変わればモチベーションやパフォーマンスに影響します。

ところが、大半の人事的アプローチは個人管理に重きを置いています。
最低限の人事機能は、労基法等の法律に則った個人管理です。
法律の目的は、基本的に労働者の権利を守ることであり、組織力を高めることではありません。
人事が経営の要請に応えようとすれば、1+1が2以上の相乗効果を生み出すことに資する機能を果たす必要があります。しかし、現状は意図的、システム的な相乗効果創出ではなく、偶発的で、属人的な結果が大半です。
また、偶発的にせよ1+1が2未満となる、互いが脚を引っ張り合うような状況もあるでしょう。
ですから、できるだけ多くプラスの相乗効果を創出し、マイナスの相乗効果を防ぐことが必要なのです。

相乗効果は相互の関係の質により変化しますので、関係のマネジメントを組織的、全社的に行えるようにすることが理想です。


2.どのような関係が”よい関係”なのかよい関係

一口に”よい関係”と言っても人により様々なイメージを持つでしょう。
例えば、互いに仲がよく和気藹々としている状況を思い浮かべる人もあるかもしれません。
もちろんそれもよいのですが、ここで言う”よい関係”とは、プラスの相乗効果を生み出し、パフォーマンスが上がる関係です。
もっと言えば、組織とは切り離されて個人で仕事をするよりも、組織やチームに参画して活動した方が、個人としても、組織全体としてもパフォーマンスが上がる関係です。

言い換えれば、チームワーク、協働関係のレベルやチームの生産性、効果性のマネジメントと言えます。
一般にこの領域は、各組織やチームのマネジャーの責任とされ、全社的なマネジメントの対象とされることは多くはないようです。

理由は、全社横断的に共通する観点で関係のマネジメントをするには、変数が多過ぎ、複雑すぎるからだろうと思います。結果的に各マネジャー任せになっているのが現状でしょう。しかし、チームワークの良し悪しが、直接的にマネジャー評価に影響することも少ないようです。

このようにして、チームのチームワークや部門間の協働体制の良し悪しが、組織内で課題として取り上げられる機会も少なくなっています。強いて挙げれば、研修場面ぐらいでしょうか。

話しを戻し、改めて”よい関係”とは何かと言えば、互いが互いを尊重しあい、信頼しあい、自律的で対等な関係で、相互支援がしあえる関係、であるとも言えます。

この状態は、単に和気藹々としたよい雰囲気を意味するものではありません。
例えば、何の懸念もなく、相手の考えに対する批判であっても、思ったこと、考えたことを言い、言われた方も真摯にそれを受け止め、率直で建設的な議論ができる状態です。
チーム内各メンバーとマネジャーとの関係だけでなく、メンバー同士の関係もこのような状態にあれば、個人として、そしてチームとしての効果性が高まります。
しかし組織には、その性質上、”よい関係”を阻む要因が含まれていますので、それらに対する対策が必要です。


2.”よい関係”を阻む要因”Inhibition factors

よい関係”を阻む要因には主に4つあります。それは、

1 組織内の上下関係
2 帰属意識の差
3 役割認識の違い
4 課題の難易度
の4つです。

一つ目は「組織内の上下関係」です。
これは通常、組織であればたいてい上下の階層構造があるものですし、上下関係があっても”よい関係”は築けます。
しかし、それが阻害要因になることも事実です。
上下関係は、あくまでも責任と役割の大きさの上下なので、人間関係としては対等であった方が互いに効果性は高まるのですが、どうしても上司も部下も、それぞれ上下を意識した立場で関係を築こうとしてしまいます。
対等な関係にするには、上の立場の者が意識的にアプローチしなければ実現しにくいものです。
そしてそれは互いに迎合したり遠慮したりする偽りの関係のことではありません。

二つ目は「帰属意識の差」です。
組織のメンバーはそれぞれに様々な経緯と様々な状態で参画しています。従って帰属意識や協働意識に差が生じるのは当然です。
例えば、正社員とパート社員、新卒入社と中途入社、一般社員と管理職など、一概に言えるものではありませんが、よしあしではなく、一人ひとりの意識に差が生じるのは当然のことであり、それが意図せず”よい関係”(例えば、対等な関係)を阻害してしまう可能性があるのです。

三つ目は「役割認識の違い」です。
自身の役割認識だけでなく、他者や他部署の役割をどのように認識しているか、ということです。これに対して相互に認識のズレが生じていることはよくあります。例えば上司が考えるある部下の役割と、当の部下本人が思っている自分の役割の認識のズレ、開発部が思う営業部の役割と営業部が自認している役割認識のズレなどです。

四つ目は「課題の難易度」です。
例えば、指示する側は然程難しくないと考え、指示を受けた側は難しいと捉えるなどです。

これら2~4は相互認識の違いですから、互いの認識や考え方を尊重して、互いに充分話し合い、共通認識を作り上げるプロセスが重要です。


 

3.全社的に”よい関係”を推進する組織マネジメント

組織マネジメント

ここまで見てきましたように、組織マネジメントを成功させ組織力を高めることに力を発揮しやすいのは、やはり各チームや組織のマネジャー、管理者です。
しかし、前述しましたように、マネジャーや管理者の直接的な評価項目でもなく、組織として現場でどのようにすべきかという指針を明示していないことが多いと思います。
管理者の役割として期待はするが指導も評価もしない、という状態です。

組織の人事セクションとして、「組織力の向上」は重要テーマの一つですから、これらに対して何らかの施策を打ってしかるべきだと思います。
もちろん個人管理の詳細化などに論点をずらすべきではありません。
タレントマネジメントなどの個人管理の詳細化を実行してもよいのですが、あくまでも上位の「組織力の向上」をどのように推進するのか、ということについて組織的なコンセンサスを得て、その中の施策の一つとして位置づけられる、という条件が必要だと思います。「やらないより、やった方がいいだろう」と言う程度ならば、恐らくやらない方がよいと思います。

では、具体的に「組織力の向上」に資する組織マネジメントをどのようにすべきか。
絶対的な正解はありませんが、少なくとも全社として推進するならば、
「組織力」についての構成要素と各レベル判定指標の仮説を設定し、それを運用することが必要です。

判定指標の例として例えば、今回組織力に影響する要因の一つとして指摘しました「個人間の関係の質」を構成要素の一つとした場合、
「個人間の関係の質」
レベル0:互いに無関心な状態 ~ レベル5:全員相互に尊重し信頼し合っている状態
までを仮説として設定し、モニタリングしてみるということです。

モニタリングの仕方については、ここでは詳述しませんが、定性的な指標ですから、管理者の自己申告だけでなく、簡易な質問紙を用意し簡便に集計できる仕組みなど工夫して、然程手間をかけずに多くのデータを蓄積することが必要だと思います。
もちろん、関係の質に影響すると思われる阻害要因についての社員の認識も、同様にモニタリングをすることは可能です。自社内のこれらデータが蓄積されれば、その分析結果から、自社としての一定の基準を策定することも可能になってきますし、全社的に課題としての認知度、関心度を高めることができます。

これらの結果として、組織として、各管理者へ「関係のマネジメント」についての指針と評価指標を示すことが可能になってきます。


いかがだったでしょうか。抽象的に「組織マネジメント」と考えるよりも、よりシンプルに、

その目的「組織力」を向上させるためには→
そもそも「組織力」とは→
「組織力」を構成する要素は→
構成要素それぞれがどのレベルにあればよいのか?

と考え、社内データを蓄積しながら具体的に検討し実践することが、全社的な組織マネジメントの質を向上させることに貢献します。

もしも大きなシステムとその運用にコストを掛けようとするならば、その前の本質的な議論・検討プロセスへの時間的投資を強く推奨します。無駄な労を防げ、より有効な活動にリソースを振り向けられますから、個人管理の議論に「関係のマネジメント」の観点を加えてみてください。

とは言え「関係のマネジメント」について、これまで経験がない、具体的に動き出していないなどの状態から、一気に行おうとすると社内的な抵抗もあるでしょうし、コンセンサスを得るのも時間がかかります。

ですので例えば、従業員満足度調査を行う中で、関係の質とパフォーマンスや従業員満足度との相関関係も分析可能なデータ収集をするなど、できるところから着手し、情報と認識の共有を少しずつ拡大していった方が、結果的には早いでしょう。

組織力を高めるための決定打を求めるならば、是非とも、小さなことからで結構ですので着手してみてください。
また、より幅広くマネジメントについての理解を整理したい方は、別の記事を参考にしてください。


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