研修の成否は、実施前に8割決まっている

研修の準備

目的、目標の確認

受講者への案内

準備物の確認

講師との打合せ

適切で充分な準備が成功のカギ

研修準備の4つの留意点

目的、目標の確認

■ 目的、目標の確認

研修の目的、目標が自明のこととして関係者全員の共通認識ができているだろうと思っても、実施に向けた準備の最終段階で改めて確認しておく必要があります。

何故ならば、進めていくうちに、実施することのみが目的であるかのように、手段が目的化してしまうことがよくあるからです。

また、目的、目標の確認とともに企画時の前提も共通認識となっていることを確認しておくとよいでしょう。以下、確認事項の一例を列挙します。

1.目的・目標の明確化

    • 何を問題として捉え、何を課題としたのか
    • 研修終了後に参加受講者やその職場などにどのような変化を期待しているのか
    • その変化、効果をいつ頃までに実現することを期待しているのか、など

2.受講者の状況把握

    • 年齢
    • 社歴、ポジション
    • 能力、職務
    • キャリア志向、など

3.制約条件の確認

    • 予算
    • 担当者の能力、人数、稼働可能時間
    • 同様の研修の継続実施の予定
    • プログラム開発及び実施準備期間
    • この課題に教育研修以外の施策も並行して実施される場合は、相互の連携、整合性はどのように図られているのか、など

4.開催実施イメージ

    • 実施時期
    • オンラインか、リアルか
    • 日程、時間、1開催あたりの受講者数
    • 担当講師、サブ担当講師、事務局
    • 目的に沿った研修プログラムのイメージ、など

受講者への案内

■受講者への案内の重要性

研修時間の長さにもよりますが、おおよそ1か月前に受講者への参加案内をお送りするとよいでしょう。

参加案内を単なる事務連絡のようにしてしまうと、折角の準備が台無しです。受講者が参加案内を受け取った時から、既に研修が始まっているといってもよいでしょう。研修の成否は、その研修に対する受講者の興味関心度合い、参加意欲に大いに依存しています。

受講者への参加案内は、受講者のその研修に対する第一印象を決めますので、疎かにはできません。参加案内を受け取ったとき、

      • とても忙しく、取組んでいる案件以外に意識を向けられない状況
      • 移動中にスマホで斜め読み
      • 上司から業務を離れることへの嫌味を言われながら手渡されるなど、

参加案内受信時の受講者の様々な状況に配慮し、どのようにしたら研修への動機づけができるかを考えて『参加案内』の送り方、送るタイミング、内容を考える必要があります。

■ 事前課題

事前課題は参加案内同様に、研修のオリエンテーション(方向づけ)になります。また、研修開始時は多かれ少なかれ受講者は緊張や不安を感じやすいと思いますので、複雑な注釈を加える必要のない個人ワークなどは、事前にじっくりと取組んでいただき、事前にお送りいただければ、受講者の今現在の状況を知る手がかりにもなります。

但し、物理的、精神的に過大な負担を強いる内容は、研修参加の意欲を却って削ぐ結果になってしまいますので、受講者の状況に応じた適度な負荷になるように留意してください。

準備物の確認

■ 準備物の確認

研修の準備物を確認するときに、実施当日のシミュレーションをしないと、必要なものに気づかないことがありますので、次の【講師との打合せ】の際にも確認するとよいでしょう。
以下参考までに、リアル開催の研修で一般によく使われる準備物を列挙します。

      • ホワイトボード(講師用、各グループ用)
      • プロジェクター、パソコン(スライド投影がある場合)
      • フリップチャートまたは模造紙(演習に応じて)
      • ポストイット(ディスカッションの実施などに応じて)
      • A4コピー用紙(ディスカッションの実施などに応じて)
      • 実習用教材(実習、演習に応じて)
      • 実習実施用備品類(実習、演習に応じて)
      • 受講者配布用テキスト
      • 講師用テキスト
      • ストップウォッチ(演習時間計測用)
      • 受講者名札(着用、机用)
      • 出欠確認表
      • マジック、マグネット、ガムテープ等(討議内容記述、掲示等)
      • 会場内標準時間用の掛時計
      • 音楽プレイヤー(休憩時間用)
      • 飲み物、菓子類(必要に応じて)

シミュレーション内容を整理し進行表が作成できるエクセルのテンプレートやサンプルをご要望の際は、ページの最下部にある【✉お問い合わせ】よりご要望をお伝えください。

教材開発例

弊社開発教材の一例

講師との打合せ

■ 講師との打合せ

どんなによい企画、教材、構成であったとしても、実施時には想定外のことが起きるのが常ですので、講師の柔軟で適切な対応が不可欠です。全く想定していなかった状況になっても、予定通りにプログラムを進めてしまえば、却って研修の目的を果たせなくなってしまいます。

講師を担当する方は、事前に企画主旨や目的、構成をよく理解しておくことは当然ですが、実施時に一番重要な講師の役割は、受講者の参加度、理解度、納得度、他の受講者との関係など、状況をよく観察し、その状況に最適な時間配分、言葉選びなど、受講者の学習に資するようにプログラムを最適化することです。

話す内容が決まっているレクチャーでも、一方通行で原稿通りに読めばよいのではなく、眼前の受講者に伝わる言葉選びや話し方である必要があります。一言二言でも、受講者との関わりを交えながら行うと、受講者により近づくことができます。

どんなに経験をしていても、毎回受講者や状況は変わりますので、事前に受講者の様子を想定しながらリハーサルを行うとよいでしょう。できれば、他のスタッフの方を受講者と見立ててリハーサルを行い、できるだけ具体的なフォードバック、例えば、

      • ○○の言葉は、△△の方が伝わりやすいと思う
      • ~の部分は、もう少し短くしてもよいと思う

などのフィードバックを得られるとよいと思います。

■ サブ講師や事務局について

以上のような講師の役割を充分に果すためには、サブ講師や事務局のサポートが不可欠です。特にオンライン研修の場合、担当講師から目が届かない部分も多々出てきます。

サブ講師を担当する場合は、仮にメイン講師が不測の事態で登壇できなくなっても充分に役割が果たせるように準備しておく必要があります。そうすることで、メイン講師のサポート役も充分に果たせるようになります。また同様に、事務局も自分自身が講師役を行うつもりで準備をすると、講師が求めるサポートが理解できます。

事務局の仕事とされていることだけを見て準備をしても、充分に事務局の役割を果たせないことが往々にしてあります。実施時には言葉を交わせないタイミングも多々ありますので、講師、サブ講師、事務局が、相互理解を深めたよいチームになっていれば、想定外の事態でも余裕を持って対処できます。

ちょうどよい社内実施の方法

method

これだけ大変ならば時間もかかりそうだし、ちょっとムリじゃないかな?
…と思われるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。

人材育成について会社独自の優れたノウハウは、大きなアドバンテージになります。これは金額に換算できませんのでバランスシートには現れませんが、重要な経営資産です。

    • よい人材が採用できない
    • 人材育成を充分に行えない

などの問題を感じているならば、
組織として『人材育成力』を高めることを、検討する価値があります。

例えば、会社独自の知識、技術を社内で効率的かつ効果的に技術継承を行えれば、大きなアドバンテージになります。ひとりのメンバーに教える際に、教えられる側に教えられた技術のマニュアルのアウトプットをしてもらう、など少しずつでも『人材育成力』向上に繋がる活動を組込むことは、未来への投資であり、組織の資産形成になります。

但し、一般化している知識、技術であれば、競争優位には繋がりません。何故なら、それらには多数の教育コンテンツが存在するからです。しかも、それらのコンテンツはどんどん低価格化しています。

そして、教育研修の社内実施は、このような活動の集大成になります。教育投資は、何も外部講師を招いたり、教材を購入したり、資格取得の補助をしたりすることが本筋ではありません。

■ 研修の社内実施が競争優位に繋がる3つの対象分野

内製化した教育研修プログラムが、持続可能な経営資産になるのは、大きく3つの対象分野があります。

    1. 会社独自の知識・技術の継承
    2. 思考力(コンセプチュアルスキル)の開発
    3. 人間関係力(ヒューマンスキル)の開発

可能な分野から、限られた範囲に絞って、少しずつ取組むとよいでしょう。

■ちょうどよい社内実施の方法

経験のある方が少ないならば、100%社内で行うより外部を活用した方が、効果的で、効率的です。しかし、100%外部依存するのは得策ではありません。あくまでも主体として推進しなければ、社内に組織知としてノウハウを蓄積できませんので、全作業のうち最低3割は社内で稼働するようにし、徐々に役割範囲を拡大できるようにしていけば、教育のノウハウが蓄積できます。

状況に応じた柔軟な対応ができる教育研修専門のサポートを受けた方が組織としての経験の蓄積になります。

ところが、多くの教育会社では独自のプログラムを自社ノウハウとし、実施講師の派遣も含めてサービス提供をすることをメインとしていますので、どうしても社内にはノウハウが蓄積しにくいというデメリットがありますので、自社の状況やニーズと社内実施の意向を率直に伝え、相談するとよいでしょう。

■ 教育研修社内実施のメリット

教育研修社内実施のメリットは、教育外注費の削減ではありません。むしろ、目に見えないコストはかさむ可能性もあります。
それでも、教育研修の社内実施の投資効果は大きく、しかも身近なところから、可能な範囲で取り組めます。そのメリットは…

    1. 社内実施プロセスに関わるメンバーは教える側の立場で思考する習慣ができる
    2. それによりメンバーは、受講者以上に深い理解をする
    3. 創造的プロセスに関わることによりメンバー間の相乗効果が生まれる
    4. 受講対象者の観察を通じて人間理解が深まる
    5. 関わるメンバーのリーダーシップ・スキル、コンセプチュアル・スキルの向上が図れる
    6. 一過性ではない持続可能な組織のコアコンピテンスが蓄積される

これだけ多くのメリットがありますので、是非とも少しずつでも挑戦してみてください。

弊社は、教育研修プログラムは、教育会社のものではなく会社経営の本質的な経営資源の1つとして捉え、様々な形で研修の社内実施をご支援させていただいています。

より詳しく知りたい方はメールにてお問い合わせください。

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