研修準備の4つの留意点
研修の目的、目標が自明のこととして関係者全員の共通認識ができているだろうと思っても、実施に向けた準備の最終段階で改めて確認しておく必要があります。
何故ならば、進めていくうちに、実施することのみが目的であるかのように、手段が目的化してしまうことがよくあるからです。
また、目的、目標の確認とともに企画時の前提も共通認識となっていることを確認しておくとよいでしょう。以下、確認事項の一例を列挙します。
1.目的・目標の明確化
2.受講者の状況把握
3.制約条件の確認
4.開催実施イメージ
研修時間の長さにもよりますが、おおよそ1か月前に受講者への参加案内をお送りするとよいでしょう。
参加案内を単なる事務連絡のようにしてしまうと、折角の準備が台無しです。受講者が参加案内を受け取った時から、既に研修が始まっているといってもよいでしょう。研修の成否は、その研修に対する受講者の興味関心度合い、参加意欲に大いに依存しています。
受講者への参加案内は、受講者のその研修に対する第一印象を決めますので、疎かにはできません。参加案内を受け取ったとき、
参加案内受信時の受講者の様々な状況に配慮し、どのようにしたら研修への動機づけができるかを考えて『参加案内』の送り方、送るタイミング、内容を考える必要があります。
事前課題は参加案内同様に、研修のオリエンテーション(方向づけ)になります。また、研修開始時は多かれ少なかれ受講者は緊張や不安を感じやすいと思いますので、複雑な注釈を加える必要のない個人ワークなどは、事前にじっくりと取組んでいただき、事前にお送りいただければ、受講者の今現在の状況を知る手がかりにもなります。
但し、物理的、精神的に過大な負担を強いる内容は、研修参加の意欲を却って削ぐ結果になってしまいますので、受講者の状況に応じた適度な負荷になるように留意してください。
研修の準備物を確認するときに、実施当日のシミュレーションをしないと、必要なものに気づかないことがありますので、次の【講師との打合せ】の際にも確認するとよいでしょう。
以下参考までに、リアル開催の研修で一般によく使われる準備物を列挙します。
シミュレーション内容を整理し進行表が作成できるエクセルのテンプレートやサンプルをご要望の際は、ページの最下部にある【✉お問い合わせ】よりご要望をお伝えください。
どんなによい企画、教材、構成であったとしても、実施時には想定外のことが起きるのが常ですので、講師の柔軟で適切な対応が不可欠です。全く想定していなかった状況になっても、予定通りにプログラムを進めてしまえば、却って研修の目的を果たせなくなってしまいます。
講師を担当する方は、事前に企画主旨や目的、構成をよく理解しておくことは当然ですが、実施時に一番重要な講師の役割は、受講者の参加度、理解度、納得度、他の受講者との関係など、状況をよく観察し、その状況に最適な時間配分、言葉選びなど、受講者の学習に資するようにプログラムを最適化することです。
話す内容が決まっているレクチャーでも、一方通行で原稿通りに読めばよいのではなく、眼前の受講者に伝わる言葉選びや話し方である必要があります。一言二言でも、受講者との関わりを交えながら行うと、受講者により近づくことができます。
どんなに経験をしていても、毎回受講者や状況は変わりますので、事前に受講者の様子を想定しながらリハーサルを行うとよいでしょう。できれば、他のスタッフの方を受講者と見立ててリハーサルを行い、できるだけ具体的なフォードバック、例えば、
などのフィードバックを得られるとよいと思います。
以上のような講師の役割を充分に果すためには、サブ講師や事務局のサポートが不可欠です。特にオンライン研修の場合、担当講師から目が届かない部分も多々出てきます。
サブ講師を担当する場合は、仮にメイン講師が不測の事態で登壇できなくなっても充分に役割が果たせるように準備しておく必要があります。そうすることで、メイン講師のサポート役も充分に果たせるようになります。また同様に、事務局も自分自身が講師役を行うつもりで準備をすると、講師が求めるサポートが理解できます。
事務局の仕事とされていることだけを見て準備をしても、充分に事務局の役割を果たせないことが往々にしてあります。実施時には言葉を交わせないタイミングも多々ありますので、講師、サブ講師、事務局が、相互理解を深めたよいチームになっていれば、想定外の事態でも余裕を持って対処できます。
method
これだけ大変ならば時間もかかりそうだし、ちょっとムリじゃないかな?
…と思われるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。
人材育成について会社独自の優れたノウハウは、大きなアドバンテージになります。これは金額に換算できませんのでバランスシートには現れませんが、重要な経営資産です。
などの問題を感じているならば、
組織として『人材育成力』を高めることを、検討する価値があります。
例えば、会社独自の知識、技術を社内で効率的かつ効果的に技術継承を行えれば、大きなアドバンテージになります。ひとりのメンバーに教える際に、教えられる側に教えられた技術のマニュアルのアウトプットをしてもらう、など少しずつでも『人材育成力』向上に繋がる活動を組込むことは、未来への投資であり、組織の資産形成になります。
但し、一般化している知識、技術であれば、競争優位には繋がりません。何故なら、それらには多数の教育コンテンツが存在するからです。しかも、それらのコンテンツはどんどん低価格化しています。
そして、教育研修の社内実施は、このような活動の集大成になります。教育投資は、何も外部講師を招いたり、教材を購入したり、資格取得の補助をしたりすることが本筋ではありません。
■ 研修の社内実施が競争優位に繋がる3つの対象分野
内製化した教育研修プログラムが、持続可能な経営資産になるのは、大きく3つの対象分野があります。
可能な分野から、限られた範囲に絞って、少しずつ取組むとよいでしょう。
経験のある方が少ないならば、100%社内で行うより外部を活用した方が、効果的で、効率的です。しかし、100%外部依存するのは得策ではありません。あくまでも主体として推進しなければ、社内に組織知としてノウハウを蓄積できませんので、全作業のうち最低3割は社内で稼働するようにし、徐々に役割範囲を拡大できるようにしていけば、教育のノウハウが蓄積できます。
状況に応じた柔軟な対応ができる教育研修専門のサポートを受けた方が組織としての経験の蓄積になります。
ところが、多くの教育会社では独自のプログラムを自社ノウハウとし、実施講師の派遣も含めてサービス提供をすることをメインとしていますので、どうしても社内にはノウハウが蓄積しにくいというデメリットがありますので、自社の状況やニーズと社内実施の意向を率直に伝え、相談するとよいでしょう。
■ 教育研修社内実施のメリット
教育研修社内実施のメリットは、教育外注費の削減ではありません。むしろ、目に見えないコストはかさむ可能性もあります。
それでも、教育研修の社内実施の投資効果は大きく、しかも身近なところから、可能な範囲で取り組めます。そのメリットは…
これだけ多くのメリットがありますので、是非とも少しずつでも挑戦してみてください。
弊社は、教育研修プログラムは、教育会社のものではなく会社経営の本質的な経営資源の1つとして捉え、様々な形で研修の社内実施をご支援させていただいています。
Copyright © educom limited partnership company 2020